2014年11月17日月曜日

講演会のおしらせ 2014.12.13. 「ヒューマンエラーと懲戒処分」




所属しているMLから講演会のお知らせがありましたので転載します。
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日本人間工学会安全人間工学研究部会、産業組織心理学会作業部門研究会、日本認知心理学会安全心理学研究部会と共催で研究会を開催致しますので、ご案内申し上げます。
日時:平成261213日(土)1400分~1630
場所:お茶の水女子大学 共通講義棟2号館102(〒112-8610 東京都文京区大塚2-1-1
テーマ:ヒューマンエラーと懲戒処分

概要:
 国道交通省の航空局は、「誠意を持って働いている中でおかしたエラーについては報告させて対策をとることを優先し,人事処罰等の不利益扱いは行わない」という方針を航空各社に求めています。航空大手では、日本航空がいちはやく2007年にヒューマンエラー非懲戒の方針を宣言したのを初めとして、全日空などでも同様のポリシーを定めています。鉄道業界でも同様の検討を始めた事業者もあります。

 このような方向性は、安全問題の専門家の間で何十年も前から共有されてきた「ヒューマンエラーは原因ではなく結果である」という考え方に一致するもので、エラーをおかした本人からの正直な報告にとって重要な要素ともなります。
 しかし、一方で、組織の人事を預かる部門の立場からは、非懲戒では社内の規律が保てないという意見も多く,現場の安全担当部署は社内の意見をとりまとめるのに苦労をしているのが現状だとも聞きます。

 本研究会においては、このようなヒューマンエラーと懲戒処分の関係について、現場の実態について作業部門に関連する話題提供、人事部門に関連する話題提供をいただくとともに、ヒューマンエラー非懲戒の問題に深い関係のある組織的公正について作業部門からの知見、さらに、法律家の立場の知見等を踏まえつつ、部門横断的に議論を深めたいと考えています。

司会:立教大学現代心理学部 芳賀 繁
講演者:
日本航空()767機長 和田 尚
中部電力()知多火力発電所技術課長 榎本 敬二
東海大学法学部 教授 池田 良彦
慶應義塾大学大学院経営管理研究科 准教授 林 洋一郎
参加費は無料、参加申し込みも不要です。
 



 
 

2014年11月3日月曜日

事始別館7  フォロワーシップ



あなたには「頼りになる同僚」「いざというときにあてになる後輩」はいますか?
あなたのチームは「生き生きとまわって」いますか?

講座24でリーダーシップを考えました。 研究者によってリーダーシップにはさまざまな定義がありますが、このHPでは「リーダーシップ」を「チームの目標達成に向かって、チームに影響を与える行動や働き」として話をすすめてきました。
具体的なリーダーシップ行動は 1)展望を示す 2)方向性を示す 3)チームが協働する状態を作る 4)チームを維持する 5)チームのレベルを維持する 6)メンバー個々のニーズを知る、などさまざま言われています。

 しかし、そもそもメンバーがいなければリーダーもリーダーシップも存在しません。そして、あなたの発揮するリーダーシップも「頼りになる後輩」の存在があってはじめてチームとして廻っていくことになるのです。
と、いうわけで、今回は チームメンバーである「フォロワー」について考えます。

フォロワーシップとフォロワー




フォロワーシップとは、ここでは「部下の側から生じる管理者のリーダーシップへの影響」と定義します。

 リーダーはチームの目的を達するためにメンバーに、いろいろな働きかけをします。そして目的に向かって上記のようなリーダーシップが適切に発揮されたとき、メンバーは納得し、「共感」が生まれ、自発的にチームのために目標に向かう行動が生まれます。これをフォロワーシップといいます。

 ところが地位や権力を背景にして,場合によっては「報酬」や「取引」、「命令」「脅し」などの手段を使って、いうことを聞かせる、というリーダーからの働きかけもあります。これをヘッドシップといいます。従うものを単に「フォロワー」といい、リーダーシップが発揮された場合に得られる、自発的な「フォロワーシップ」とは区別されます。

 また、単に「どうすればいいんですかー」とか「ネットで安直に”こたえらしきもの”を探し飛びつく」などといった、問題に主体的にかかわらないタイプも「フォロワー」といえます。
 
この関係を簡単に書くと以下のようになります。
リーダーシップーー納得、自主、自立、共感ーーーーフォロワーシップ 
ヘッドシップ  ーー地位、物、脅しーーーーフォロワー

ヘッドシップが必要な場合もあることはあとで述べます。

リーダーシップとフォロワーシップ




リーダーの資質
リーダーシップを発揮しようとするリーダーに必要なのはどんな資質でしょうか(講座24)


1)「仕事の全体像」を把握していること:技術的な(仕事上の)知識を何でも枝葉末節まで「一番知っている」必要はないと思いますが、全体像はきちんと押さえていることが必要です。仕事の知識も「平均以下」では「論外」です。

2)コミュニケーション能力:コミュニケーションに関しては昨年のCRMセミナーで述べました。

3)状況認識

4)リソースの準備と活用

5)協調性とワークロードマネジメント

6)意思決定:最後はきちんと(自分で)「決断」する


 これらを身に付けた「生まれついてのリーダー」などほとんどいません。また、私や貴方のように、「歳をとったから」、「経験が多いから」といってリーダーシップが身についているとも限りません。ですから、私や貴方のような「凡人」は「目的をもった訓練」で、良い・有効なリーダーシップをなんとか身に付けることが必要なのです。


フォロワーシップ  



リーッダーシップを分担する

 リーダーシップはリーダーだけが発揮するものではありません。チームの目標に向かってメンバーも場合によってはリーダーシップを発揮し、その場合にリーダーもフォロワーシップを発揮していくことにより、チームの目標達成に向かうパフォーマンスが向上していきます。
 FAAMRMハンドブックに「リーダーシップの分担」という項があります。正式のリーダーがいてもメンバーの一人一人が時と状況によっては責任を分担すべきだ、というのです。これは我々の現場でも同じです。


 「私のほうが詳しいのに・・・」と密かに不満を持ちながらリーダーの「ヘンな指示」に仕方なく従う、なんて事じゃなく、「○○はこうしたほうがいいと思います。私、このこと調べてありましたので・・」と明るく提案し、リーダーシップを分担する、ということです。

 また「リーダーシップの分担」をマネージメントできるリーダーはリーダーシップがある、ともいえます。「権限の移譲」はリーダーシップにとって重要な要素だからです。こうして「チームがまわっていく」ことによりチーム全体のパフォーマンスが上がっていくのです。

リーダーへの信頼の上に客観的に見る力

 リーダーだって万能ではありません。人間ですからエラーもしますし、疲労や内外のストレスからも無縁ではないのです。 ですから、いつでも、なんでもリーダーについてさえいけばよい、というものではありません。リーダーへの信頼の上に、良質な見解、率直な懸念・疑問を表現できること。よい情報も、悪い情報もタイミング良くリーダーに報告できることが、求められます。

 フォロワーシップを発揮していくためには、自立していること、自分の見識や倫理観をもっていること、能動的・自覚的にリーダーについていく、という選択をしていることが必要なのです。


時に必要なヘッドシップ の行使




 では、リーダーによる命令的なコミュニケーションとしてのヘッドシップは常に「悪」なのでしょうか?(共感や納得を得るための)説明をしている余裕がない時、切迫した事態のとき、目標構造のレベルを明らかに取り違えているときなどには、ヘッドシップを発揮して、きっちりと命令する必要があります。リーダーシップは時に使い分ける必要があるのです。
リーダーの権威、権限はそのためにもあるのです。

以前のCRMセミナーのTAG(権威勾配)の資料も参考にしてください。
 

(まだかきかけです)