事始・別館18
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医療において,下位者が上位者へ「ものをいう」のは職業倫理でもある
下位者から上位者への「異見」や「反対意見」はどんな社会でも難しい。上司にきちんと主張ができていれば、悲惨な結果がもっと違っただろうという例はいくつもある。
そこで、方法がいろいろかんがえられてきた。もっとも知られているのが、航空などのCRMで教育される「アサーション」であることは前にかいた。航空などの場合、自分の命も危ないのに、「機長の怒り」のほうを優先したと思われることまであったという。
医療の場合も同じで「患者安全」でデッカーは以下のように主張のレベルを上げていくよう勧める(CRMとほぼ同じ)。
始めに:相手の注意を引く懸念:心配の程度を明言する問題:問題だと確信していることを明言解決策の提案:解決策があるなら簡潔に提案。あなたが提案する相手は多分忙しい。「提案」は強く考えていることが伝わる。同意:相手に敬意を持って返答を求める。「これでどうです か?」 「いけませんか?」
いわゆるSBARも似ているね。
しかし、その全てが役に立たない場合もある。
まだまだ道はある、あきらめない。
1. 状況に適した 規則やガイドラインに訴えかける
2. 他のチームメンバーを味方につけるか打診する・・・
さらに「手段」を考えている時間のない時にはどうするか?
「声を上げろ」とデッカーはいう。
心理的安全、アサーションはもちろん必要だ。しかし、生死が危うい患者に代わって声を上げるのは医療者の職務倫理ではないのか!というのだ。
「重要なことは、あなたがどう思われるかではない。(たとえ自分の将来に響くとしても)肝心なことは、生死が危うい患者への職務倫理である。
その患者に代わってあなたが声を上げないなら、ほかに誰が上げられるだろう?言うべき時に声を上げなければ、あなたはそのことが職業経歴に及ぼす影響を背負っていくことになるだろう。それは昇進や卒業を逃したことほどには目立たないかもしれないが、あなたの今後の全職業人生にわたって恥という重荷になるだろう」
「患者第一」「患者に寄り添う」「チーム医療」・・・病院も医療団体も「平時」はいろいろ言うが、いざその時はこれ(「声を上げる」)しかないのではないか、とデッカー教授は言っているように思う。
(資格を持って仕事をしているんだ)「それくらいのリスクは背負えよ!」と。
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