あなたには「頼りになる同僚」「いざというときにあてになる後輩」はいますか?
あなたのチームは「生き生きとまわって」いますか?
講座24でリーダーシップを考えました。
研究者によってリーダーシップにはさまざまな定義がありますが、このHPでは「リーダーシップ」を「チームの目標達成に向かって、チームに影響を与える行動や働き」として話をすすめてきました。
具体的なリーダーシップ行動は 1)展望を示す 2)方向性を示す 3)チームが協働する状態を作る 4)チームを維持する 5)チームのレベルを維持する 6)メンバー個々のニーズを知る、などさまざま言われています。
しかし、そもそもメンバーがいなければリーダーもリーダーシップも存在しません。そして、あなたの発揮するリーダーシップも「頼りになる後輩」の存在があってはじめてチームとして廻っていくことになるのです。
と、いうわけで、今回は
チームメンバーである「フォロワー」について考えます。
フォロワーシップとフォロワー
フォロワーシップとは、ここでは「部下の側から生じる管理者のリーダーシップへの影響」と定義します。
リーダーはチームの目的を達するためにメンバーに、いろいろな働きかけをします。そして目的に向かって上記のようなリーダーシップが適切に発揮されたとき、メンバーは納得し、「共感」が生まれ、自発的にチームのために目標に向かう行動が生まれます。これをフォロワーシップといいます。
ところが地位や権力を背景にして,場合によっては「報酬」や「取引」、「命令」「脅し」などの手段を使って、いうことを聞かせる、というリーダーからの働きかけもあります。これをヘッドシップといいます。従うものを単に「フォロワー」といい、リーダーシップが発揮された場合に得られる、自発的な「フォロワーシップ」とは区別されます。
また、単に「どうすればいいんですかー」とか「ネットで安直に”こたえらしきもの”を探し飛びつく」などといった、問題に主体的にかかわらないタイプも「フォロワー」といえます。
この関係を簡単に書くと以下のようになります。
リーダーシップーー納得、自主、自立、共感ーーーーフォロワーシップ
ヘッドシップ ーー地位、物、脅しーーーーフォロワー
ヘッドシップが必要な場合もあることはあとで述べます。
リーダーシップとフォロワーシップ
リーダーの資質
リーダーシップを発揮しようとするリーダーに必要なのはどんな資質でしょうか(講座24)
1)「仕事の全体像」を把握していること:技術的な(仕事上の)知識を何でも枝葉末節まで「一番知っている」必要はないと思いますが、全体像はきちんと押さえていることが必要です。仕事の知識も「平均以下」では「論外」です。
2)コミュニケーション能力:コミュニケーションに関しては昨年のCRMセミナーで述べました。
3)状況認識
4)リソースの準備と活用
5)協調性とワークロードマネジメント
6)意思決定:最後はきちんと(自分で)「決断」する
これらを身に付けた「生まれついてのリーダー」などほとんどいません。また、私や貴方のように、「歳をとったから」、「経験が多いから」といってリーダーシップが身についているとも限りません。ですから、私や貴方のような「凡人」は「目的をもった訓練」で、良い・有効なリーダーシップをなんとか身に付けることが必要なのです。
フォロワーシップ
リーッダーシップを分担する
リーダーシップはリーダーだけが発揮するものではありません。チームの目標に向かってメンバーも場合によってはリーダーシップを発揮し、その場合にリーダーもフォロワーシップを発揮していくことにより、チームの目標達成に向かうパフォーマンスが向上していきます。
FAAのMRMハンドブックに「リーダーシップの分担」という項があります。正式のリーダーがいてもメンバーの一人一人が時と状況によっては責任を分担すべきだ、というのです。これは我々の現場でも同じです。
「私のほうが詳しいのに・・・」と密かに不満を持ちながらリーダーの「ヘンな指示」に仕方なく従う、なんて事じゃなく、「○○はこうしたほうがいいと思います。私、このこと調べてありましたので・・」と明るく提案し、リーダーシップを分担する、ということです。
また「リーダーシップの分担」をマネージメントできるリーダーはリーダーシップがある、ともいえます。「権限の移譲」はリーダーシップにとって重要な要素だからです。こうして「チームがまわっていく」ことによりチーム全体のパフォーマンスが上がっていくのです。
リーダーへの信頼の上に客観的に見る力
リーダーだって万能ではありません。人間ですからエラーもしますし、疲労や内外のストレスからも無縁ではないのです。 ですから、いつでも、なんでもリーダーについてさえいけばよい、というものではありません。リーダーへの信頼の上に、良質な見解、率直な懸念・疑問を表現できること。よい情報も、悪い情報もタイミング良くリーダーに報告できることが、求められます。
フォロワーシップを発揮していくためには、自立していること、自分の見識や倫理観をもっていること、能動的・自覚的にリーダーについていく、という選択をしていることが必要なのです。
時に必要なヘッドシップ の行使
では、リーダーによる命令的なコミュニケーションとしてのヘッドシップは常に「悪」なのでしょうか?(共感や納得を得るための)説明をしている余裕がない時、切迫した事態のとき、目標構造のレベルを明らかに取り違えているときなどには、ヘッドシップを発揮して、きっちりと命令する必要があります。リーダーシップは時に使い分ける必要があるのです。
リーダーの権威、権限はそのためにもあるのです。
以前のCRMセミナーのTAG(権威勾配)の資料も参考にしてください。
(まだかきかけです)